校長インタビュー                建国高校で、新たな自分と出会う

生徒の想いに寄り添ってあげられる環境


例えば韓国語について言えば、確かに創立当初から使命感を持って教えていますが、韓国語を教えている高校は他にも沢山ありますよね。そういうことを考えた時、建国高校の真の魅力というのは「子供たちの願いを叶えてあげられる学校であること」ではないかと思うのです。もちろん実現が難しいこともありますから100%ではありませんが、生徒の想いに寄り添ってあげられる環境であるということは自信を持って言えます。


建国高校は小規模の学校ですから、教員と生徒の距離が非常に近い。そうすると、やはり目の前にいる生徒の些細な変化にも気づくことができるんです。何か困っていたり悩んでいたりする生徒がいれば、教員たちはあらゆる可能性を様々な角度から提案します。


「秘めている可能性に気付いてもらうための進路指導」


-気付かなかった自分の可能性


毎年新入生に進路希望調査を行うのですが、大学・短大・専門学校・就職という4つの選択肢がある中で、就職に〇を付ける生徒がほとんど。もちろん明確に就きたい職業があって就職を選択している生徒もいますが、「自分の学力では進学は難しいだろう」と判断している生徒が多いのが事実です。

15歳くらいの年齢になると、周囲の大人たちがその子の可能性を決め付けてしまうことも多く、こういう風に自分のレベルを判断してしまうことも仕方がないとは思います。


建国高校では大学進学を強く勧めるようなことはありませんが、生徒が秘めている可能性に気付いてもらうための進路指導は必ず行います。生徒たちも、生き生きと学校生活を送る先輩たちの姿を見ながら、日々の学習に取り組んでいく中で、少しずつそれまで気付かなかった自分の可能性に気付いてくれます。


「味わったことのない成功体験を」


潜在能力と可能性


一番のきっかけはおそらく韓国語ではないでしょうか。建国高校の学力は幅広く、中学校まではクラスの中でも真ん中より下の学力レベルだったという生徒も少なくありません。韓流ブームによって勉強が得意でなかった生徒でも興味のある韓国語の勉強には意欲を持って取り組むことができる。さらに、一般の高校であれば30~40名で1つのクラスを構成している中、我が校では最も人数の多いクラスでも20名程度で、クラスによっては5名ということもあります。英語の場合、小学校から授業があるため、どうしても自分の英語力がどのくらいかわかってしまいますよね。しかし韓国語は建国高校で初めて学ぶという生徒がほとんどですし、少人数かつ自分と同じレベルの子たちと競い合うことでモチベーションも上がります。


元々興味があった韓国語を、こういった環境の中で学んでいくとやはり成績も伸びるんですよ。先生からも褒めてもらえる。また頑張ろうと思える。頑張れば頑張るほど結果が出ることがわかると、建国高校に入るまでは味わったことのない成功体験を味わうことができるんです。すると、今まで決め付けていた自分の可能性をもう一度信じるようになり、進路希望調査でも2年生、3年生と年次が上がるにつれて進学への〇が増えてくる。生徒たちは学習を通して、自ら自分の潜在能力と可能性に気付いていくんです。


「雪だるまの最初のひと転がり」


最初の転がり始めが一番苦戦するもの-


私も、校長を務める前は建国高校の教員として授業を行っていました。クラス担任としてクラスを受け持っていたこともあります。驚いたのは、とある生徒の中学校の担任の先生とお会いした際、「彼は実は中学校時代はほとんど学校に行けなかったんです」と言われたことです。たまに遅刻はするものの、毎日登校し、ごくごく普通に学校生活を送っている生徒が、中学校までは不登校で悩んでいたと言うのです。どうやら、あらゆる面で自信を失っていた彼も、限られた人数の中で韓国語をじっくり学ぶようになると、面白いように成績が伸び、クラスメイトや先生が誉めてくれたことで自信を取り戻すことができたようでした。もちろん、中学校時代の先生方も彼の良いところをしっかり誉めておられたと思います。しかし、自分自身で実感がないと、単なる慰めとして受け取ってしまっていたのではないかと思うのです。


雪だるまというのは、小さな雪玉が転がることで大きくなりますが、最初の転がり始めが一番苦戦するもの。建国高校は雪だるまの最初のひと転がりを手助けしてあげられる学校だと思います。その後はもう、生徒自身の力で転がり、大きく成長していく。我々はきっかけを与えるに過ぎませんが、そのきっかけが非常に大切だと思っています。


「凄まじい勢いで成長」


-生徒たちの熱量に引っ張られる-


 若いエネルギーを持つ生徒たちの雪だるまが一度転がり始めると、凄まじい勢いで成長していきます。最近では、生徒会が中心となって全国で初めて学生の生理休暇制度を導入しました。生徒たちは常に意欲的に新しいことに挑戦していて、我々教員が生徒たちの熱量に引っ張られているような感じですね。もちろん最初からうまく行っていたわけではありません。先輩たちが小さな雪玉を転がし、それを後輩が受け継いで転がしていく…そうして実績や意識、想いのバトンが繋がっているのだと思います。生徒会の子たちが集まって話し合いをしている様子を見ると、とてもたくましさを感じますよ。今では生徒会に入りたいという生徒が60~70名もいると聞きました。


以前、生理休暇制度をはじめとするSDGsの取り組みについて全校生徒に向けて生徒会がプレゼンをしたのですが、それを数名の生徒が涙を流しながら聞いていたというのです。数日後に、その生徒たちが「私たちも生徒会に入りたいです」と申し出ました。しかし、その子たちは部活動などで時間に制限があるため、生徒会の定例会議には出席できない。それでも、部活動以外の時間で何か手伝えることはないか、と。そうして、単発的に生徒会活動に参加できる「サポーター制度」ができました。


「生徒たちの力が学校を変えた」


-どんな自分にでもなれる-


私は40年以上建国高校におりますが、赴任当時は正直なところ、こんな活気のある学校ではありませんでした。本当に生徒たちの力が学校を変えたと思っています。もちろん、全員がすぐにこんな風に頑張れるわけではありません。ただ、今の建国高校には確実に"変わろうとしている”生徒がいる。やはり、隣の家がざわざわしていると、なんとなく自分の家も落ち着かない…というように、一人の意識や行動の変化が、一人、また一人と刺激を与えているような状況だと思います。そうして学校自体の雰囲気も変わっていく。


 小規模校である我が校では、同じ中学校出身という生徒はほとんどいません。一人も知り合いがいない状況は不安かもしれませんが、それは皆同じ。過去を知る人がいないということは、どんな自分にでもなれるということ。建国高校なら、きっと新しい自分に出会えるはずです。