心に残るアンニョンハセヨ

 先日、小学校の全校集会で、子どもたちと話す時間がありました。それは最近体験した心に残る挨拶の話でした。

 小学1年生のある男の子が、お昼休みの時間に何かをしていた様子でしたが、私の顔を見た途端、とても自然に、しかもきちんと両足をそろえて笑顔で「アンニョンハセヨ」とペコリと頭を下げ、ご挨拶をしてくれました。「アンニョンハセヨ」は日本語で「こんにちは」という意味です。

 よくいろんな子どもたちが挨拶をしてくれますし、歩きながら、手を振りながら、小さな声で、大きな声で、会釈を含め、挨拶というものはどれも気持ちの良いものです。けれどなぜこの子の挨拶が心に残ったのでしょうか。

 はるか遠く、私がこの学校に初めて訪れたあの日も同じような場面がありました。5年生くらいでしょうか、一人の小学生が他の友達と運動場でサッカーボールをけっていて、たまたま私の方に近づいてきたとき、見知らぬ私の前で、勢いよく走ってきたその足を止めて、ボールを小脇に抱え、真っ赤な頬で「アンニョンハセヨ!」と大きなははつらつとした声であいさつをしてくれました。

 私はいたくその挨拶に胸を打たれ、この学校で勤めたいなあと感覚的に思った記憶があります。あの時も今回も共通して言えるのはこちらをまっすぐに見る瞳の輝きと、心に響く挨拶であったということです。建国ではよく『子どもたちが素直でのびのびしている』といわれます。この学校で学ぶその素直な感性と、自然に身についた「アンニョンハセヨ!」が他者への思いやりとなって口から発せられた時、美しい言葉になって相手の心に深く沁み込むのではないでしょうか。

 そんなことを考えながら、私も自然とそのことを子どもたちに話しました。気のせいでしょうか、それ以来またキラキラのご挨拶が増えたような気がします。

 

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